金蘭千里50式

2018.01.01

金蘭千里学園50周年特設サイト

金蘭千里中学校・高等学校が2015年の50周年を記念して制作した、リレーブログ形式のコラム集です。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の50周年時の姿を描き出しました。

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保健体育科教諭、男子サッカー部・硬式テニス部顧問  矢野 克之

皆さん、サッカーワールドカップはどうでしたか?
残念ながら日本は予選リーグで敗退してしまいましたが。しかし、前回優勝のスペインやイングランド・イタリア・ポルトガルの予選リーグ敗退にはビックリしましたね。
決勝はドイツとアルゼンチンの対決となり、ドイツが延長後半に得点を挙げ24年ぶり4度目の優勝に輝きました。とても面白かったですね。

ところで、このワールドカップに日本から参加していたのは選手だけではありません。審判員も3名参加していました。(主審 西村雄一 、副審 相楽亨、名木利幸)
PKの判定で話題になったので、皆さんもよく知っていると思います。この3名は前回のワールドカップから4年間チームとして海外の大会などに参加し、FIFA(国際サッカー連盟)から評価されて招集された優秀な審判員です。招集されても、事前研修やテストの結果で試合を担当させてもらえずに帰国する審判員もいるなかで、オープニングゲームである、ブラジル―クロアチアを担当することが出来たのですから凄いことです。また、割り当てされた試合での評価が悪ければ次回の割り当てもなくなります。世界から25組が招集され、準決勝の時点で15組に減らされてしまいます。彼らは最終まで残っていましたし、3位決定戦の予備主審・副審に割り当てられていました。そう考えると、日本の審判員は大変優秀だと思います。

私は金蘭千里に勤務するようになってから長年審判員として活動してきました。それとともに、優秀な審判員を育成するための審判活動(審判インストラクター)もしてきました。そのことについて、少し話をさせていただきます。
審判員は、走ることは当たり前ですが、良い角度(争点が見やすい位置)を保ちながら、ゲームの流れやチームの戦術、また選手の意図を感じながら一瞬の出来事を判定しています。だから、非常に難しいです。
やはりワールドカップで笛を吹く主審はすごいですね。ゲームコントロールも上手いですが人を掌握すること(マンマネージメント)も上手いですね。(副審は普段見ている日本の副審の方が上手だと思いますが)

それでは、私が良い審判を育成するために、どのようなインストラクター活動をしていたのかを簡単に紹介してみたいと思います。
まず、「審判員に求めるもの」として以下のものがあります。

1. 知識の習得
・サッカー競技とは
・競技規則の精神
・論理的な知識
・実践的な知識
・社会的な知識

2. 審判技術の向上
・判定する眼
・動きやポジショニング
・運営能力(オペレーション)
・ゲームマネージメント

3. フィットネスの向上
・基盤―正しい判定をするために動く、ゲームの展開や戦術の理解
・コンディショニング
・スピードと運動量、現代サッカーにマッチングした動き

4. パーソナリティの向上
・強いメンタリティ
・確固たる信念・哲学
・内的動機づけの強化
・人間性の醸成

これらについて、私は地域の審判講習会やR.T.C(レフェリートレーニングセンター)で指導をしていました。また、実際に試合を観て、担当していた審判員と反省会を行い、良かったことや反省点について話し合います。反省会での内容については日本協会・関西協会に2日以内にレポート(コメントと評価点)として提出します。勿論、審判員にもフィードバックされます。
こういうことを繰り返し行うことでより良い審判員の育成を目指しています。
皆さん、これからサッカーの試合を観るときには少し審判員のことも観て下さい。
選手もですが、審判員も日ごろからトレーニングを積んで試合に臨んでいます。
良いゲームは良い審判員がゲームをコントロールしています。いつもと違ったサッカーが観られるかもしれませんよ。