金蘭千里50式

2018.01.01

金蘭千里学園50周年特設サイト

金蘭千里中学校・高等学校が2015年の50周年を記念して制作した、リレーブログ形式のコラム集です。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の50周年時の姿を描き出しました。

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田宮俊作『田宮模型の仕事』(佐野隆)

tamiya

今や時代はハイテク、小さな子供もネットワーク社会にどっぷりである。しかし、私が子供だったころ、お正月の楽しみといえば、もらったお年玉を握りしめ模型屋さんへ走り、プラモデルの品定め。これである。いろいろ欲しいものはあっても買えるのは1つ。選択は慎重である。当時のブランドは、タミヤ、ニチモ、マルサンであるが、これらのメーカーは他社に比べて組み上げたときの精度、質感ではっきり違いがあることは子供たちにもわかっていた。だから、わくわくしながら家に持ち帰り、手は切っても1つしかないパーツは決して壊さないという意気込みで製作にいそしむのである。

田宮模型(現(株)タミヤ)は現在では赤と青の星マークで国内外を問わず知られたメーカーであるが、著者である田宮俊作氏(現会長)によれば、決して順風満帆な歴史ではなかったようである。運送業、製材業からスタートし、火災による大損害からやむなくプラモデルの道に進んだ同社であるが、何より一流メーカーに押し上げたのは、本物へのこだわりであろう。そのための徹底した調査のあまり、外国では拘束されたり、国内でも公安警察の監視がついたりの苦労話はなかなか興味深い。

細やかな気配りと確かな技術、今までの日本を支えてきたこれらのものは、これからどうなっていくのだろう。経済大国であっても職人魂は忘れて欲しくない。

ところで最近のプラモはディスプレイモデルが主流だが、個人的にはモーターで動くものが魅力的。タミヤさん何とか採算度外視で頑張ってくれないだろうか。

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