広中平祐『生きること学ぶこと』(大中章)
本書は1982年に刊行された『学問の発見』を改題、加筆訂正して1984年に文庫として刊行されたものです。(解説:小澤征爾、福岡伸一)
著者は、日本で三人しかいないフィールズ賞受賞者の一人である広中平祐氏。ハーバード大学教授、京都大学数理解析研究所所長、山口大学学長等を歴任、また数学教育に積極的に取り組まれてきたことでも知られています。
本書は、一言でいえば、著者の人生論・学問論ですが、決してお堅い内容ではありません。福岡伸一氏の解説にも示されているように、著者の自伝として、ちょっとした数学者列伝として、また、日本とアメリカの比較文化論として、と何通りにも読むことができ楽しめます。私自身は、改題前の『学問の発見』を、大学生の時に拝読し感動したのを今でも憶えています。著者が、私にとって憧れの対象であったことも影響しているとは思いますが。
私が感銘を受けた点は多いのですが、長くなるのでここでは割愛します。この本は、特に若い人に読んで欲しいと思います。これから何かを学ぼうとしている人には勿論、なぜ学ばなければならないのかと少し疑問に思っている人にも是非お薦めしたい一冊です。30年も前に刊行されたものですが、少しも色褪せない、というのが再読した私の感想です。
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