金蘭千里50式

2018.01.01

金蘭千里学園50周年特設サイト

金蘭千里中学校・高等学校が2015年の50周年を記念して制作した、リレーブログ形式のコラム集です。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の50周年時の姿を描き出しました。

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Rachel Louise Carson(レイチェル・ルイズ・カーソン)  “Silent Spring”(『沈黙の春』)  (古仲正廣)

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没後50年である。各地で記念の催しが行われる一方で、現代科学の視点から50年前の彼女の著作の部分的誤りを指摘する人たち(これはまだよいとして)、殺虫剤DDTのおかげでマラリヤ患者が激減したのに、彼女のこの著作が発端となって世界中に環境問題に対する意識が高まり、DDTの使用禁止に至った結果、またマラリヤ患者が激増した事実をもって、彼女を罵る記事を書く者もいるそうである。

私が改めてこの著作を読もうと思ったのは、10年以上も前のこと、英語リーダーの教科書に彼女をテーマにした課があったからである。それまでも、この著作はいわゆる入試頻出本として有名で、それ以前から頻出本収集をしていた-進学校教師の悲しい性(さが)?-こともあってよく知ってはいた。化学式とか殺虫剤の薬品名とかが当然出てくるので私のような文系の人間には辛いはずであるが、それを乗り越えさせるだけの説得力と表現力がこの著作にはある。これは、科学者同志の専門書ではない。一般の人々を啓発するための啓蒙書である。この書が彼女の執筆意図を十二分に達成し、20世紀の名著の一つに数えられていることを、当然彼女は知らない。出版して2年後、薬品会社などの「化学薬品村」ともいうべき者たちの猛反発にまだこの書が勝利しないうちに亡くなったからである。今から50年前のことであった。

この書がなぜ環境問題のバイブル、古典と呼ばれるか知りたいと思う人は、まずは新潮文庫版『沈黙の春』から読まれよ。

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