東野圭吾『流星の絆』(吉村幸司)
学生時代には読書感想文の為にしかほとんど読書したことがない私が、金蘭千里で教壇に立たせてもらうことになり、読書を生徒に推奨する校風に気まずさを覚えて、書店のお薦めコーナーで手に取ったのが東野圭吾さんの小説でした。
東野圭吾さんの作品は理系人間の私が苦手とする曖昧な表現が出てこず、非常に読みやすいです。また、作品の中に出てくる伏線を後々、「なるほど!」とうならせる形で回収していくスタイルは痛快です。この「流星の絆」は両親を殺害された3兄妹がその犯人を突き止めていく話ですが、他の作品同様に面白い結末が待っています。作者のこのスタイルを知ってから、色々当てをつけながら読み進めていくのですが、いつも結末に驚くばかりです。個人的には、数学の問題の素晴らしい別解を教えてもらっている感じだと思っています。私と同じように読書が苦手な人ほど手にとってほしいと思う作品です。
なお、書店で最初に手を取ったのは「流星の絆」とは異なる作品ですが、今回読み返してみて、中高生には刺激的な表現があったり、救いようのない結末だったので、「流星の絆」をお勧めの一冊としました。最近の作品の方が後味の悪くない作品が多いと思います。
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