黒川博行『破門』 (竹尾真)
今年の151回直木賞(今年度上半期)は、黒川博行の『破門』が6度目の挑戦で選考された。黒川氏は愛媛県出身で、京都市立芸術大学を卒業後、一般企業を経て大阪府立高校在職中、『二度のお別れ』で第1回サントリーミステリ大賞の佳作に選ばれ、その後『キャッツアイころがった』で第4回大賞を受賞した。
黒川氏の作品は、大阪府警シリーズ(『二度のお別れ』etc.)や疫病神シリーズ(今回紹介している『破門』etc.)、エッセイ(『よめはんの人類学』etc.)など幅広いジャンルで、どれも大阪を舞台にしている。また登場人物たちの大阪弁の軽妙なやり取りが非常に面白く、大阪近郊に住んでいる者には親しみが持てる。
実は、私は氏と同じ府立高校に非常勤講師として2年間お世話になった。そこで氏と様々なことをして過ごした。生物部の合宿でウニの発生の様子を徹夜で観察したり、美術部の合宿でスケッチの合間に生徒達とスイカ割りや卓球などをして遊んだ楽しい思い出もある。自分の親しくしている知人が直木賞受賞というとんでもないことをしたという驚きのあまり、今これを書いている。
最後になったが『海の稜線』を一読することを薦める。その理由は・・・読んでのお楽しみ。
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