金蘭千里50式

2018.01.01

金蘭千里学園50周年特設サイト

金蘭千里中学校・高等学校が2015年の50周年を記念して制作した、リレーブログ形式のコラム集です。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の50周年時の姿を描き出しました。

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「和の文化に触れて」

国語課教諭、茶道部顧問  池田 美和

数え年七歳の六月六日から十五年間、日本舞踊を習っていました。流派は山村流。今は亡き師匠には文字通り手取り足取りの指導をいただき、大変お世話になりました。稽古は一ヶ月に六日間連続で、常に師匠と一対一。緊張感たっぷりに過ごしたあの時間と空間がとても懐かしく、心地よかったことが思い出されます。

稽古で学んだのは、舞の技術的なこと、例えば身のこなしや間(ま)のとり方、体の隅々にまで、そして手に持つ道具の末端にまで神経を行き届かせることなど。しかしそれだけではありません。礼儀や人との接し方も学びました。兄弟弟子は年齢も性別もさまざまで、幼い子供や学生、会社経営者や落語家、芸者さんなどもいらっしゃいました。おかげで、知らず知らずのうちに年齢性別に拘らずいろいろな人と進んでコミュニケーションをとることが当たり前になっていったように思います。また一方では、集中力や観察力、一人で舞台に立つ度胸なども少しは身についたのかもしれません。

こうして振り返ってみると、入門してわずかな間のことでしたが、日本舞踊での経験は、私という人間の根幹の部分を形成するのに大きく関わっていたように思われます。

日本舞踊をやめて二十年以上が経ち、今年度から始まる茶道部の顧問を務めることになりました。ほとんど初心者といっていい私は、身の引き締まるような思いがし、また、再び和の文化に触れる機会を与えていただいたという大きな喜びも感じています。茶道は和の文化の集大成といわれるものであり、「究める」などと軽々しく口にすることなど到底できません。今はただ、日本舞踊で学んだことも活かしつつ、生徒と一緒に私なりにこの道を深め楽しんで、これからの人生を少しずつでも豊かなものにしていきたいと思うばかりです。