金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

金蘭千里中学校・高等学校が2015年の50周年を記念して制作した、リレーブログ形式のコラム集です。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の50周年時の姿を描き出しました。

教職50究

英語科講師、ESS部顧問  廣瀬 昂平

「極めた」というには大変烏滸がましいのですが、物心つく前から水に親しみ、高校を卒業するまで続けた競泳経験、その後のコーチ経験からお話をさせていただきます。

競泳のように1/100秒を争う競技では、体力は言うまでもありませんが、それ以上に技術(正しい泳ぎ方)の習得が肝要です。それにはまず、正しい泳ぎ方を「理解」しなければなりません。見様見真似のフォームでもそれなりに泳げなくもないのですが、自己流や力技だけの泳ぎではフォームはいつまでも改善されず、速さも頭打ちになります。正しい泳ぎ方を知り(理解し)、それを無意識(自動的)に実践できるようにすることがタイム向上には欠かせません。

「理解」すべき項目としては、スタート、浮き上がり、筋肉の使い方・使うタイミング、手の動き、足の動き、手と足のバランス、頭の位置、呼吸、体幹、ターン、タッチ…などがあります。これらの項目にはそれぞれ意識するポイント(例えば「スタート」の項目で言えば、反応、入水位置、入水角度etc.)があり、個別に見ていくと枚挙に暇がありません。しかし、これらすべてのポイントを理解して初めて、後の訓練の中で自分の泳ぎのどこが悪いのか、どうすれば修正できるのかが分かります。まずは理解ありきなのです。

次に「理解の自動化」を実践の中で身に付けていきます。実践するにあたり「こんなに沢山のポイントを、イチイチ気をつけなればタイムは向上しないのですか」と質問を受けそうですが、最初は「イチイチ」気をつけてください。イチイチ気をつけているうちに無意識(自動的)にできるようになります。正しくは「イチイチ」ポイントを意識しなくても自動的にできるようになるまで、訓練するのです。自動的に正しいフォームで泳げるようになることが、自己流や力技だけの泳ぎでは実現できないタイムを出すことに繋がるのです。

今回は簡単にではありますが、競泳を通して「理解」と「自動化」についてお伝えしました。実はこの「理解→自動化」の過程は、語学を習得する際も必要なものです。語学の習得にも target language のルールを「理解」し、その理解を基にして、話したり、書いたり無意識に言語を扱えるようにするための訓練が不可欠です。それについては、また授業かどこかでお話をするといたしましょう。