数学科教諭,陸上部顧問 井藤 吉紀
私は,小学生頃からボールを投げたり,蹴ったりして遊ぶことが好きな子供だった.特に,ボールが「曲がる」ことに強い関心があり,大学4回生で,微分幾何学(曲がったものを定量的に扱う学問)を専攻した.
その内容は,例えば,高速道路を走っていると「R=500m」というような標識が現れる.これは,「半径500m」という意味で,カーブの曲線を円で近似したときの半径が500mであることを示している.その円の半径の逆数を,曲率という.ちなみに,直線は「0」,点は「∞」である.
この学問で,私は,「フルネ・セレ」という美しい公式(大雑把にいえば,空間曲線は,曲率(曲がり具合)と捩率(立ち上がり具合)によって与えられるもの)に出会い,より数学に惹き付けられた.真理を追究することにより,深い部分で,他分野とつながると思う.
どんな分野でも一つのテーマについて,研究することは,新たな発見があり,見識が広がり,人間力が上がり,楽しいものだ.