理科教諭,ボランティア部顧問 佐野 隆
「究める」という感覚を知らない私に果たして「究めた!」思う瞬間はやってくるのだろうか。あれこれ始めてみては、そこそこのところで次の興味を探る気の多い性格ゆえに、胸を張って表に出せるものは恐らくないだろう。
ずいぶん以前の話だが、大学生のころは、大して勉学に励むことなく、バドミントンで汗をかき、調子に乗って入った小さな合唱団で合唱曲なるものを歌い、学部の友人とは天気図を描いたり一貫性に乏しい日々を送っていた。ただ、その中で今でも印象深いのは、音楽仲間とギターを携えて地方の小学校を回る活動に参加していた際、一緒に歌ったり遊んだりしたときの子供たちの笑顔である。大げさだが自分の存在が認められた気がしたものである。今でも、音楽だけは手放せない体質になったのはこれがきっかけかも知れない。
ところで、何でもやりたがりの私が昨年から挑戦しているのはパーカッションである。中でもテレビで見たカホンという楽器(ほとんどただの箱、ペルー由来らしい)がたまらなく欲しくなり、ついにはネットで買ってしまった。昔からすぐにリズムをとってしまって、両親に注意されまくっていた病気がむくむくと起き始め、今や家族も黙認するに至り、周辺の機材も準備して毎日、細々と練習を繰り返している。
人生では、サイドメニューを充実させることで、本業が活きるのかなと都合の良い判断をしている。