大学に入ったばかりのころに、高島俊男の『独断!中国関係名著案内』を先輩に薦められて読み、河口慧海の『チベット旅行記』なるものがあることを知り、そのおもしろさに引き込まれた。時代は下るが、西川一三『西域八年の潜行』も夢中になって読んだ。
チベット人や蒙古人のふりをして潜入するドキドキ感もさることながら、両書の魅力は、西域・チベットの風俗習慣(異国情調)、そして、明治や昭和初期の空気をぞんぶんに味わえる点にある。当時、著者二人のシンプルで合理的、かつ実行力に富んだ生き方には強い共感を覚えた。独立不羈を貫く点にもあこがれを抱いていた。自分の原点はこの辺にあったのだなと、この文章を書きながらそう自覚した。
【Amazon】 『チベット旅行記〈上〉』 『チベット旅行記〈下〉』 『西域八年の潜行〈抄〉』