宮崎 雅子『NICUのちいさないのち』
心が疲れている、イライラする、やる気になれない、そんな時や、医療従事者になりたいと思っている人に読んでほしい1冊です。
私が2人の娘の出産を経験して毎日感じることは、今ある日常はあたりまえではないということです。1人の命が誕生すること自体が奇跡であり、その後成長し、今日々の生活を快適に過ごせているのは、健康な心身と家族や周囲の人たちの支えがあるからです。
NICU(新生児集中治療室)とは、病院において低出生体重児や、先天性の病気をもった新生児を集中的に管理・治療する部門です。
この本にはそのNICUに入院中の赤ちゃんの写真とともに、医師や看護師、赤ちゃんの家族のエッセイが添えられています。中には管につながれた赤ちゃんの写真もあり、皆一生懸命生きようとしているのが伝わってきます。また赤ちゃん独特の澄んだ瞳に癒やされます。そしてそれぞれの赤ちゃんを優しいまなざしで見つめる家族や看護師。そんな写真を見ながらエッセイを読んでいると、色々なことを考えさせられ、心打たれます。
きっと皆さんのお父さんやお母さんも、皆さんがお母さんのお腹の中にいる時から、「無事に健康に生まれてきますように」「この子に素敵な未来がありますように」など色々なことを祈りながら、皆さんの誕生を心待ちにしていたことでしょう。子どもの幸せを願うのは誕生後ずっと現在まで変わりありません。
そんな親の思いに気づき、日常の幸せに感謝する気持ちを思い出させてくれて、元気をもらえる本です。