岡潔『春宵十話』
岡潔の専門は多変数解析函数論である。京都帝大を出てパリ大学のポアンカレ研究所に通っていたころに、この研究に生涯を通じてかかわろうと決めた。
いろいろ研究するうちに、どうも数学は愛嬌がない、急につまらなくなるところがある。理屈を動かしているときに何かが欠けていくという感じがしてきた。それなのに数学にかかわっていること自体はおもしろい。これはどこか自分の考え方を変えなければならないと思い始めた。奈良女子大学教授時代のことである。
こうして「情緒」という問題が浮上した。著者はしだいに自分の数学は「情緒を数学にする」ということだと考えるようになる。いったい情緒とは何か。情緒の中心からどんな数学が出てくるのか。そんなことばかり考えるようになった。
数学の情緒 すなわち 数学に触れて起こるさまざまの微妙な感情やその感情を起こさせる特殊な雰囲気について考えてみて下さい。
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