金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

田中義久さん(神戸地方検察庁伊丹支部 主任捜査官、27期)

 

金蘭千里創立50周年、おめでとうございます。
青春時代を過ごした学び舎が50年の節目を迎えたことに、心からお祝い申し上げます。

私は、それまでは民間で働いていましたが、平成22年4月に検察事務官に採用されました。
およそ5年、そのほとんどで立会事務官としての仕事をしています。

立会事務官というのは、ドラマ『HERO』をイメージしてもらえれば分かりやすいと思いますが、検察官と一緒に事件の捜査を行うことを仕事としています。
具体的には、検察官の取調べに立ち会うほか、時には検察官の指揮を受けて検察事務官が被疑者の取調べを行ったり、逮捕状による逮捕や捜索差押許可状の執行をしたりすることもあります。

検察官の取調べに立ち会ったときのエピソードとして1つ挙げるなら、いわゆる「割る」瞬間を目の当たりにしたときでしょうか。
その事件では、私が立会をしていた検察官は、被疑者の妻の事情聴取を担当していました。
夫がしたことについて妻に聞いても、主婦をしている妻は「外で夫が何をしているか分からない。」を繰り返すのみでした。
そんな事情聴取と並行して、検察官は、事件の証拠物を確認していきました。
たくさんの証拠物の置いてある部屋にこもり、何時間も黙々と、1つ1つ、丁寧に。
その様子は、事務的な用件でも声を掛けるのがはばかられるくらい、真剣そのものでした。
そして、いくつかの証拠物から、事件のあった日時・場所に妻がそこにいたのではないかという証拠を見つけました。
その後、妻の事情聴取で、検察官が妻に証拠物を確認させて「どうですか。」と尋ねたところ、妻は、少しの間黙り込んだ後、これまで嘘をついていたことを認めました。
その瞬間、まるで映画『十戒』でモーゼが海を二つに割ったかのように、取調室の空気が一変したと私は感じました。
そんな文字どおり「割れた」瞬間は、私にとって今までで一番印象に残っています。

これまで検察事務官として仕事をしてきて思うのは、検察官や検察事務官は「不正を許さない」という気持ちを強く持っているということです。
もちろん、この理由としては、わが国において刑事について公訴を提起できるのは検察官のみという制度(これを「起訴独占主義」という言い方をします。)が存在していることも挙げられるでしょう。
しかし、そういった法制度以前に、人として「悪いことをした人をそのままにしておくわけにはいかない」という思いを心に抱いているからだと思います。
適正な刑事裁判が実現できるように、つまり裁判官が裁判で適正な刑罰を決めることができるように、捜査を尽くして証拠物や供述を集め、事件の真相を明らかにする。
そういった気持ちだからこそ、上述の検察官のように、検察官や検察事務官は個々の事件の捜査に一所懸命取り組んでいけるのだと思います。
そして、私自身も、一人の捜査官として、社会正義を実現するという目的のため、検察官とともに日々の職務に励んでいます。

これを読んだ在校生や若い卒業生の中で、検察庁での仕事に少しでも興味を持った方がおられれば、是非とも検察官や検察事務官を目指してみてください。