金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

教職50究

英語科教諭、家庭科部・茶道部顧問  田中   香織

タイトルに記したのは内館牧子さんのノンフィクションで、会社を辞めて海外に行くかどうかを悩んでいる時に読んだ本のタイトルです。高校を卒業するまでの私は、叶えたい夢自体持っているのかわからない子どもでした。英語は懸命に勉強しましたが、好きな先生に褒められたいとか、友達に負けたくないというのが主な理由で、英語を活かした仕事に就こうなど思ってもいなかった気がします。

そんな私が初めて持った壮大な夢は、3年次に大学で1名だけ選ばれるアメリカへの公費留学でした。尊敬していたひとつ上の部活の先輩(今は母校の准教授をされています)が選ばれ、「次は私」と思って必死に勉強しました。

3年生になった私は、応募条件を充分に満たしており、選抜される可能性がかなりありました。しかし、結果、応募すらしませんでした。怖くなったのです。外国など行ったこともないのに、挫折したらどうしよう。公費となれば多方面に迷惑を掛ける。何のために頑張ってきたのか思いましたが、仕方ありません。成績は取って来たけれど、肝心の勇気が私には備わっていなかったのです。

こうして私は大学を4年間で卒業し(留学の多い外大では珍しい)、更に5年経ったある日、英語の国に身を置いてみたいと思った昔の夢が急にむくむくと沸いて来ました。体重が減るほど悩みましたが、今度この夢をうやむやにしたら一生後悔する気がして、好きだった会社を退職し、渡英を決めました。大学時代の夢が歳月を経て叶えられた瞬間でもありました。

振り返ってみると、私の場合、ひとつの夢を叶えるのに10年近く掛かってしまうことばかりです。教師もそうです。教育実習を通してこの仕事は自分には荷が重すぎると感じ、憧れつつも回避しました。しかし、イギリスでの厳しくも実りある日々が私を成長させ、帰国後やっと教職に挑戦することが出来ました。最初に心に描いてから10年以上の月日が流れていました。

パナソニック創業者の松下幸之助氏は「失敗は、成功するまでやり続けたら失敗ではなく成功になる」という言葉を残しています。同様に、夢も叶えるまでは挫折ではなく、夢であり続けてくれます。ただ、チャンスは何回も訪れてくれる訳ではないので、来たら掴もうという構えの姿勢を常に持っていることが大切です。この姿勢を日々の雑事に追われながらも保ち続けられるかどうかが、その夢が「I wish」なのか「I hope」なのかの違いではないかと思うのです。

今年、10年越しの夢がまたひとつ叶いました。嬉しい半面、これもまた10年掛かったことに苦笑します。しかし、それが私なのです。夢の有無、大きさ、叶える速さ・・・そんなものを人と比べることに意味はありません。生徒の皆さんには、いつか抱く夢を大切に、そして、夢を叶える夢が見られる明るい人であって欲しいと願っています。 “The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.”  - 私の好きな言葉です。