金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

影林督諭さん(安井建築設計事務所設計部主任、26期)

某建築現場にて(某建築現場にて)

金蘭千里創立50周年、誠におめでとうございます。新校舎完成から早くも10年が経ちました。新たな環境で育った皆さまが、社会へと羽ばたかれ、多様にご活躍されていることに大変嬉しく思います。また、旧校舎で学ばれた諸先輩方の様々なご活躍も拝見し、金蘭千里の遺伝子が日本、そして、世界を舞台に様々に広がり、年を経るごとに活躍の場が拡散していることを改めて知る機会となりました。

私は、校舎紹介(編者注:クリックすると別ウィンドウでご覧いただけます)にもありますが、現在の校舎を設計・監理させていただくなど、様々な建築をデザインして設計図を描き、その設計図どおりに工事が行われているかの監理をする仕事をしています。紹介のページで、詳しく校舎のコンセプトやデザインプロセスをお話ししていますので、建築設計の仕事とはどんなものなのかは理解していただけるかと思います。

では、金蘭千里の校舎が完成してからの10年間に、どれだけの建築を設計し、完成したのか。6つです。4つは日本の学校で、1つは海外の学校。もう1つはオフィスビルです。そして、現在も数種のプロジェクトが同時に進行中です。建築という仕事は構想から完成までにとてつもなく時間がかかります。街中の2階か3階建ての住宅が1年ぐらいかかっているものも、通りすがりに見たこともあるのではないでしょうか?なので、ゆうに2年や3年、ややもすれば10年プロジェクト、それ以上の壮大なプロジェクトもあります。もちろん、一つずつ順番に設計できる恵まれたタイミングで仕事はやってきません。設計が同時にいくつも重なって、いくつかの工事現場が同時に進行する時もあります。10年間で6つも完成することができたのは、たまたま運が良かったのかもしれません。

時間のかかる建築は、完成間近となれば関係者全員が気力・体力も尽き果てるのですが、完成した時は、毎回、経験したことのない感動を味わいます。何もない平らな大地に、自分が思い描いた空想の世界・イメージをリアルに創り上げることの感動は、言葉では語り尽くせないものです。と同時に、自分だけの感動だけでは絶対に終われないものでもあります。それは建築主の思いを、我々が代理する形で具現化することを専門にしているからであり、出来上がった建物を建築主が納得して、感動することこそ、感動を呼ぶのです。(自分の家を、自ら設計する場合は、自らが建築主となるので、感動が2倍になるのか・・・それは未だ経験していませんが。)

先日も、建築の世界に関わりたいという男女の生徒に会い、お話をしました。未だ見ぬ世界に
飛び込もうとしている二人の眼差しの奥はとても光り輝いていました。僕の話に興味津々でした。そんな二人の建築に関わろうという動機はすでにそれぞれにしっかりとあり、大変嬉しく思いました。そのモチベーションを維持し、追求し続けてほしいと。そして、この建築という世界は自らをその空間に身をおいてこそ意義があり、体験することが大事であり、そこで何を感じるかが重要であるとお話ししました。その空間体験は日々行われるもので、若い世代だけで終わるものではなく、僕も今でも最重要課題と思っています。

年を重ねてこそ再び感じることの大切さ、同じ空間でも以前と異なる感動を味わうことができたら、それは新たな糧となり、自らを奮い立たせます。そんな感動を味わうため、定期的に海外へと旅立ちます。昨年もふらっとパリへ。20世紀の偉大な建築家 ル・コルビュジエの教会建築を観に、パリから電車で6時間もかけてスイスとドイツの国境へ。次の日は最新の現代建築となるルイヴィトン美術館を見学。次の週は勢いのある現代建築が建設ラッシュなデンマークへ。来る度に通うルイジアナ美術館ではアルネ・ヤコブセンの椅子に身を委ね一眠り。その夜は、世界で最も予約の取れないレストランへ。興味と趣味を常に建築という仕事に並立させて、創造の幅を広げたいと追求する姿勢を維持し続けています。

フランス_ロンシャンの教会(フランス、ロンシャンの教会)

伝統を礎に新たな改革へと進む金蘭千里。この環境で育まれる6年間は、間違いなく人生の上でかけがえのないものです。如何なる困難にも立ち向かう精神力と持続する体力を築き上げ、真の自分を発見できることを心から願っています。そして、世界に旅立ってください。