金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

山田惠資さん(10期、時事通信仙台支社長兼編集部長)

DSC_1836(仙台市の定禅寺通りにて)

創立50周年、おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。また、これまでわが母校のために尽力されてこられた辻本賢理事長をはじめとする先生方、職員の皆さまに卒業生として深く感謝いたします。

私は1971年4月から77年3月まで6年間、金蘭千里中学・高校に在学。その後、上智大学を経て1982年に報道機関である時事通信(JIJI  PRESS)に入社し、以来、ほぼ一貫してジャーナリストとして働いてきました。「通信社って何をするの?」と思われる方もいるでしょう。取材して報道する。この点においては新聞社と全く同じですが、自前で新聞を発行しているわけではありません。簡単に言うなら「ニュースの卸問屋」です。新聞社、放送局、あるいはインターネットのサイトにニュースを提供する会社です。

報道機関として日本に存在する通信社は時事通信と共同通信です。海外ではAP(米国)、ロイター通信(英国)、AFP(フランス)、新華社(中国)などが有名です。今でこそインターネットを通じて、ニュースを一般の人々に直接伝えることができますが、それはこの20年くらいのこと。もともと通信社の記事は、新聞や放送番組を通じてのみ一般の人に伝わっていました。

私の場合、勤務地は福岡、大阪、本社のほか、4年間、ワシントン特派員として米国の政治を取材しました。実はそのワシントンでの勤務を終えて日本に帰国したのは2011年9月10日、つまりあの米国で同時多発テロが起きた「9・11」の前日でした。他の仕事ならテロ発生の直前にワシントンを離れたのだから「幸運」だったと言うべきところですが、われわれジャーナリストにとっては逆です。もしあと1日帰国が遅ければ、同時多発テロという世紀の大事件を取材することができました。事件そのものは実に不幸であり悲惨でしたが、記者として取材する機会を1日違いで逃したことは不運でした。

一方で、私はワシントンから帰国した後、小泉首相時代の首相官邸を担当しました。その小泉首相が2002年9月に、日本の首相としては初めて北朝鮮を訪問して、金正日総書記(当時)と会談した際は、私も日本から首相同行記者団に加わり、平壌を訪れました。これなどは歴史的な出来事に関わったという点で、記者として幸運でした。

昨年7月には本社から仙台支社に転勤し、管理職的な仕事や不慣れな営業もしていますが、あくまで本業はジャーナリストであると自負しています。特に、東北地方は2011年3月11日に東日本大震災に見舞われ、津波によって多くの方が犠牲になりました。同時に深刻な原発事故も発生し、仮設住宅暮らしを強いられている人が現在も23万人以上に上っています。そのような東北で勤務する機会を得られたことは、記者としての視野を広げる上でとても役に立っています。また、長く取材してきた中央政界を、地方の視点から見ることは新鮮でもあります。

社会人になってから33年。今振り返ってみて、私は記者という職業を選んでつくづく良かったと思っています。予測不能な出来事に出くわすことができるからです。直近の例を挙げれば、昨年12月に行われた衆院選挙です。これは多くの政治記者がそうであったように、私も11月に衆院が解散されるぎりぎりまで、「まさか年内に選挙なんかするわけがない」と思い込んでいました。しかし、そうした観測の裏をかくかのように安倍首相は解散・総選挙に踏み切りました。「唐突」とも言える今回の解散劇も、実は安倍首相が政権基盤を強化するために周到に練った戦略上のウルトラCでした。私としては、政局の予想が外れたことは残念であり、読みの甘さを反省していますが、一方で、そんな「想定外」の出来事に直面するたびに、記者という職業のおもしろさを実感しています。

DSC_1760

さて、中学、高校に通う若い在校生の皆さんは将来、どんな職業を目指そうとしているのでしょうか。既に目標を定めている人もいれば、まだ、何も考えてないという人もいるでしょう。仮にジャーナリストになりたいと思っているなら、体力、好奇心、社交性の3つがあれば「適性あり」です。ただ、どんな職業を目指そうとも、ぜひ政治には関心を持ってください。政治は決して別世界の出来事ではなく、国民の生活に直結しているからです。どうか、新聞でもテレビでもインターネットでも、1日1回は政治のニュースに接する習慣を身につけてください。なお、私は毎週月曜朝、ラジオ番組「日本全国8時です」(TBSラジオ系、午前8時)という番組で政治解説をしています。あいにく関西地区では放送されていませんが、インターネットのラジオでは聴取できます。よろしければお聴きください。

母校のますますのご発展をお祈りしています。そして、現在、金蘭千里に通う若い皆さんとどこかでお会いし、語り合える日が来ることを楽しみにしています。

DSC_1595(同僚たちとの宴会で)