金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

中尾正俊さん(4期、一般社団法人大阪府医師会副会長、医療法人中尾医院理事長・院長 )

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金蘭千里学園創立50周年、本当におめでとうございます。

4期生の中尾です。卒業し日々の仕事をこなすことに精一杯の45年以上でした。今、このような振り返りの機会を与えて頂き感謝に堪えません。卒業当時は「金蘭千里!たしか金蘭会は女子高ではないの?」とか、今の金蘭千里からは想像もつかいない知名度が低く進学実績も乏しい一私立中高でした。50年間をかけて全国でも屈指の進学校になれたのは、辻本校長をはじめ歴代校長や多くの先生方そして金蘭千里を卒業した後輩達の頑張りだと感謝の気持ちで一杯です。

さて、私自身の振り返りを述べましょう。神戸大学教養部時代は解剖学などの授業もほどほどに、文学部に出かけ万葉集に没頭し、和辻哲郎先生の「古寺巡礼」を読みながら足しげく古都奈良・飛鳥に通っていました。教養部時代に医学のみならず日本文化に触れられたことにより精神的にも成長させていただいたと思っています。現在の医学教育は、教えなければならない医学が大幅に増えたために、医学部入学当初より医学分野の教育を行わなければならない悲しい状況です。さらに、医師国家試験も「資格試験」から新医師臨床研修制度で初期研修医の定員が設定されていることにより残念ながら「足切り試験」と化しています。

私が医師として誕生し成長させてくれた患者さんのエピソードを書きましょう。患者さんからは多くのことを教えて頂きました。消灯後に病棟を見回っている時のことです。40代の急性骨髄性白血病の患者さんの部屋に床頭台の明かりがついていました。その患者さんの病室に入室すると、その患者さんは窓の外をじっと見ておられていました。その患者さんに話しかけると、家族を残して死んでいく口惜しさを涙ながらに切々と語りかけて頂きました。また、悪性リンパ腫の患者さんが化学療法中にカリニ肺炎を発症し、十分な酸素が投与され患者自身も努力呼吸をしていたにもかかわらず、「空気を、空気を」と訴えながら亡くなられたことを思い出します。最後に気管挿管しアンビューバッグを押した時、あまりの呼吸抵抗の高さに、「これでは空気が肺に入らないなあ」と思い、涙をこらえることができませんでした。医師として患者さんのために患者さんと一緒に病気と闘おうと誓ったレジデント時代を思い出し、「初心忘るべからず」の心境です。

今は、父の後を継ぎ「かかりつけ医」として地域医療に従事しています。おじいちゃん・おばあちゃん達からその子供そして孫までの初期診療を行っております。専門医療が必要になったら、速やかに専門病院に紹介し的確な医療を受けてもらうように日々頑張っています。また、学校医として学童の健康を、中小企業の嘱託産業医として従業員の健康保持にも努めています。

そして、24年前から地区医師会の役員になり、10年前から大阪府医師会理事そして今年から副会長に就任し医師会活動も行っています。患者さんと医者との関係は良好ですが、なぜか「医師会」となると市民・患者さんとの関係が少し悪くなるのが悲しいかぎりです。府医師会は府及び市町村行政とタッグを組み、2025年の高齢社会に向けて患者さんが望む医療提供体制や要介護高齢者が住み慣れた町で安心して療養できる地域包括ケアシステムの構築に向けて頑張っています。

最後に、後輩の君達にエールを送りたい。特に病に苦しむ患者さんために、一人でも多くの後輩達が医療の道に進んでいただきたい。志のある若き医師達が一人でも増えることを願い、筆を置きます。