金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

山本光昭さん(11期、厚生労働省近畿厚生局長)

金蘭千里・原稿

創立50周年、真に、おめでとうございます。

私の現在の仕事は、近畿ブロック管内における厚生行政の政策実施機関の責任者として、今社会問題となっている危険ドラッグや麻薬・覚醒剤などの取締、保険医療機関の登録や指導監査等の医療保険制度の運営、食の安全・安心の確保、医療職種の国家試験に係る事務などを担当しています。私は医師ですが、医師の約96%が従事している臨床医としてではなく、役所で行政官として公衆衛生を専門としています。役所に何故医師が必要であるかと申しますと、例えば、新型インフルエンザをはじめ感染症のアウトブレイク(集団発生)への対応には科学的判断が必須であり、医師が全面的に対応していますし、また、社会保険診療報酬の改定など保険医療制度の見直しにあたっては、医学医術の進歩をはじめとする医療現場における動きに対する的確かつ迅速な対応が可能な知識や経験のある行政官の医師が求められているためであります。

医師の活躍分野には、一人一人の患者の命を救い健康を守るという臨床医としての喜び、大学の後輩にあたるノーベル賞学者の山中伸弥氏のような新たな知見を発見するという研究者としての醍醐味など、それぞれの面白さや遣り甲斐があります。私が感じている行政官としての公衆衛生という仕事の魅力は、①多くの人の健康福祉の向上に貢献出来ること、②担当した分野について若い時から最高権威と対等の関係で仕事が出来るということ、③担当した仕事が自分の異動後も組織的に継続され発展していくことなどです。

私は、金蘭千里の中学高校時代、阪急電車で通学していたこともあり、ターミナル駅における百貨店経営や宝塚歌劇をはじめ大規模劇場による演劇の大衆化など阪急の展開してきた経営哲学を勉強したり、城山三郎の「官僚たちの夏」や堺屋太一の「油断!」などを愛読したり、社会・経済の分野に強い関心がありました。そのため、進路として、文科系を選ぶべきだったかもしれませんが、実家が開業医で、当時は、医者の子が医学部に進まないと、「行かない」のではなく「行けなかった」と言われた時代であり、そう言われるのが癪に障るといった子ども的な感覚で、理科系のクラスに入り、医学部医学科に進学することにしました。医学生時代も、社会・経済と医学・医療とを橋渡しする社会医学を将来専攻したいと思い、大学卒業後は、直ぐに旧厚生省に入り、行政官として公衆衛生を専攻した次第です。

ところで、私の本業は、疾病予防と健康づくりの公衆衛生の医師ですが、健康との関係が密接な食に対して強い関心があり、ご当地グルメや食文化の違いなどを楽しんだり、ワインエキスパートや日本酒の利酒師、コムラード・オブ・チーズなどの食に関連する資格も取得したりしています。大量生産による紙パック入りなどの日本酒を大量飲酒する構造から、地酒を含むバラエティに富んだ高品質の日本酒を適量飲酒する構造へという「日本酒の飲み方の構造改革」を提唱したり、日本ソムリエ協会主催の「ワイン検定」の講師を務めたり、自然・食材・歴史・文化などを踏まえた各地方のご当地料理に地元の日本酒やワインの情報を得ながら、多くの人たちとのコミュニケーションを楽しんだりしています。

むすびに、在学生の皆さんに、将来の道を選ぶにあたって、私からお願いしたいことは、①人との出会いを大切にすること、②好きなことを見つけること、③世の中に流されないことです。中学高校時代の恩師との出会いをはじめ、尊敬できる人との出会い・交流は、生涯の財産となりますので、人との出会いは大切にして欲しいと考えています。次に、私は、公衆衛生という医師の1%しかいない道を選びましたが、社会・経済と医学・医療との橋渡しという私が好きなことを見つけ、日々、遣り甲斐を感じながら仕事を楽しむことができています。また、グローバル化が進展するなかで、世界標準に向けた社会システムの変革が進み、そのため企業や大学といった組織も変貌するとともに、価値観も大きく変化していきますので、自分の考えをしっかり持ち、世の中に流されないことを期待します。

母校と皆様のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げ、私からのメッセージとさせていただきます。