金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

今泉宣親さん(金融庁、31期)

picture(「職場(虎ノ門)の近くにある虎の像とともに)

創立50周年本当におめでとうございます。
今回、50周年の寄稿のお話を頂いた際、自分が31期と再確認し、既にたくさんの後輩の方々がいらっしゃることに驚きました。綿々と今日に至る歴史を築かれてこられた先生方、関係者の皆さまのご尽力に、心より敬意を表します。

私は大学卒業後、金融庁で国家公務員として働いています。「金融庁」というと、「半沢直樹」というドラマに出てくるように、銀行に踏み込んで重箱の隅つつきをしているイメージを持たれているかもしれません。そもそも、学生の方々には「金融」というものに馴染みがないかもしれません。そこで、簡単に「金融庁」と「金融」について触れさせていただきます。

「金融」とは「資金の融通」のことです。お金を持っている人や会社と、お金が必要な人や会社との間を、場所や時間を超えて繋ぐ架け橋です。そして、この架け橋の向こうには、新しくビジネスを始めよう、家族で素敵な家に住もう、歳を取って引退した後も安心して暮らせるようにしよう、といった人々の「夢」があります。この「夢」を実現するためにお金を貸したり、投資をして増やしたりするのが、金融機関の仕事です。

しかし、「金融」は使い方を間違えると、借りたお金を返せなかったり、老後の蓄えに買っていた株が値下がりしたりして、人生設計が狂うなど夢や生活を壊してしまう危険もはらんでいます。そこで、「金融庁」は、「金融」がはらむ危険を抑えながら、金融機関が人々の夢の実現のために働く、すなわち、企業や産業を発展させたり、人々が将来の備えを蓄えられるようにするために、しっかり働いてもらうよう、ルールを作ったり、金融機関に働きかけたりすることを仕事としています。

私がいま従事しているのは、この「金融機関に働きかける」方法の見直しです。例えば、金融検査もこうした金融機関との接触の一つですが、ドラマに描かれたような世のルールに抵触するようなやり方が行われるようなことはありませんが、これまでの金融機関との議論の仕方は、専ら過去や現在の状況がどうなっているか、が中心でした。しかし、日本では年配の方の比率が増え、人口が減っていくことが予想される中、経済もその影響からは逃れられません。このため、金融機関との議論も、「今までこうだったから大丈夫」ではなく、「こういう将来が厳しい中でも、人々の『夢』を実現し続けるためにどんなことが必要か」について、議論していくよう変えようとしています。

しかし、過去のことのように、実際の資料や結果をルールに当てはめて議論すればよいものと違い、「将来も持続可能な経営ができるか」ということは一つの答えが決まっているものではありません。そこで、どのような方向に金融機関の経営が進んでいけば人々にとってより良いか、そのために金融庁がどのように働きかければ金融機関が変わっていくのか、模索を続けています。

こうした決まった正答があるわけではない中で答えを探す作業は、思い返すと、金蘭千里で過ごした中学・高校時代の知的訓練により基礎が作られたように思います。例えば、毎日の20分テストも、一見すると受験勉強のための「決まった正答探し」の訓練のように感じられますが、毎日予習・復習をこなすために鍛えられた段取りを考える力や、大学受験の科目の要否に関わらず広い科目でトレーニングして得られた教養は、「決まった正答探し」には留まらない力を与えてくれたように感じます。

卒業して16年余りが過ぎ、(まだまだ若輩者ではありますが)「子どもだった自分」を思うことよりも、「自分の子ども」を思うことが多い年齢となりました。50周年を迎えた母校が、次世代にとってもまた、良い友人と生きる力を与えてくれる場となり、次の50年の歩みを重ねていかれることを心より祈っております。