金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

活躍50色

小谷  みどりさん
(20期、第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部 主席研究員)

わが母校の歴史が半世紀に到達したとのこと、これまで学校運営に関わってこられたすべての先生方のご尽力の賜物と、卒業生の一人として感謝申し上げます。

私は大学院を修了してからすぐに現在の第一生命経済研究所に勤務し、今年で勤続22年目になります。大学4回生になっても何をしたいという人生の目標があったわけではなく、なんとなく大学院に進学し、なんとなく就職した私にとって、結果的に20年以上も研究を続けられているのは想定外の人生ともいえます。

私の専門分野は死生学ですが、人の生死に関わる研究を始めたのは社会人になってからです。科学技術が発達したり、私たちの生き方がどんなに多様化したりしても、どんな人も「死」を避けて通ることはできない以上、死をタブー視しない社会にしたいとふと思い立ったのがきっかけです。今思えば、学生時代に政府の派遣で滞在した東南アジアやボランティアで関わったアフリカで、病や飢餓、部族抗争などで命を落とす人々の現状を目の当たりにしたことも関係していたのかもしれません。

その頃、日本社会には「死はタブー」という風潮がまだ根強く、人が亡くなれば型通りの儀式で見送られ、墓に入るのが常識だとされていました。研究所内でも「そんな研究をする意義が分からない」などと大きな反対を受けました。しかし家族のかたちが多様化し、日本社会が高齢化していくなか、死を取り巻く社会環境が大きく変化し、そんな常識が近い将来、通用しなくなるという直感に似た確信を私は持っていました。20年が経過し、私の確信は現実のものとなっています。終末期医療が高度化し、死をどう迎えるかを元気なうちに考えておかねばならない状況も生まれています。

民族、宗教、国が違えば、死生観や慣習は大きく異なりますが、死にゆく人や遺される人の悲しみや苦しみ、不安は万国共通です。私は知識や理論を追求するのではなく、そうした一人ひとりの心や気持ちに寄り添いたいと思っているので、世界中を歩き、さまざまな人たちに出会うことは、私にとっては大切な学びの場であり、ライフワークにもなっています。これまでに出会った多くの方たちが身を持って教えてくれたのは、人生の長さではなくどう生きたかということ、そしてまわりの人たちとどう関係を築いてきたかが大切だということです。みんなが安心して老い、死んでいける社会をどうしたら作っていけるのかを、これからも真摯に考えていきたいと思っています。