金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

良書50冊

『アルジャーノンに花束を』  ダニエル・キイス

「ただみんなみたいに頭がよくなりたいのでそうすればみんなぼくを好きになて友だちがたくさんできると思う。」(原文引用)

主人公のチャーリー・ゴードンは知的障害を持ち、32歳にしてIQ68。疑うことを知らない純粋な心で、賢くなってもっと楽しい生活を送りたいと願っていた。そんな彼は、実験的手術により、驚くべき早さで天才的な知能の発達を遂げる。英語の読書きだけでなく、彼に関わりをもつ教授たちをさえ遙かに超える知的能力を、チャーリーは獲得した。

今や天才となったチャーリーは、しかしながら、楽しい生活とはかけ離れた現実を目の当たりにすることになる。知能の高さからくる自らの傲慢さ、自尊心を傷つけられる憤り、忘れていた子ども時代の記憶。その全てが、彼を苦しめる。頭がよくなることは、必ずしも彼が思っていた楽しい生活を運んできてくれはしなかった・・・。

「一昨日アルジャーノンが死んだ。<・・・中略・・・>同じことが現在私にも起こりつつあることを考えると恐ろしい<・・・>はじめて将来のことが不安になった。」

アルジャーノンは、チャーリーと同じ手術を受けて高い知能を獲得した白ネズミである。主人公がチャーリーである本書において、なぜ『アルジャーノンに花束を』という題が付けられているのか。作品の最後まで心を使いながら読むことで、その意味を感じ取ってもらいたい。

奇しくもこの記事を執筆中の6月15日、著者のダニエル・キイス氏が86歳で逝去された。英語教師としての経歴も持つ氏自身が日本語版文庫へ寄せた序文の一部を、ここに引用させていただく。

「恐らくチャーリーはこう示唆したいのだろう。つまり、知識の探求にくわえて、われわれは家庭でも学校でも、共感する心というものを教えるべきだと。他人を思いやるように導いてやるべきだと。あらゆる老若男女の立場に自分をおいて見ることを、自分たちの子供たち、そして自分自身に教えることが、すべてのひとびとにとって、もっと住みよい世界を築く一助となるのだと思う。」