金蘭千里50式

金蘭千里学園50周年特設サイト

「金蘭50式」は、50周年を迎える金蘭千里中学校・高等学校の「今」をお伝えする特設サイトです。一年にわたり、様々な視点からのコンテンツを50個ずつ発信して、金蘭千里の姿を描き出します。

良書50冊

安部公房 『他人の顔』 

生来、雑読乱読。一冊に絞るのは至難の業、ふっと頭に浮かんだのは高校時代のあの出来事。

エミリ・ブロンテの「ジェーン・エア」を読み明かした朝、バスに乗り込んでびっくり!そこにジェーン・エアがいるではないか。あの衝撃は今もくっきりと。。。無意識に創られていたジェーン・エアの顔。

そもそも顔とは何だろう。顔は自分と他人を結ぶ通路であり、人間は他人の目を借りて自分を認識するのかもしれない。誰の顔ものっぺらぼうで区別できない同じ顔だとしたら、私たちは他人をどう認識するのか。容器としての体全体はそのままで脳だけが入れ替わったとき、そのひとをどう認識するのか。表情が、玄関と同じで外来者を意識して創られるものだとすると、顔は、むしろ他人によって創られ、選ばれるのではないか。仮面は、顔を隠すことによって心も消してしまう。仮面は、人相や表情を隠すことによって顔と心の関連を断ち切り、世間的心から解放する。そして最後のどんでん返し。仮面は、仮面であることを相手にわからせてこそ、かぶった意味が出てくるのか。

『他人の顔』は、顔と心の関係を通じて「人間とは何か?」を追求する、如何にも公房らしい作品である。

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